星が集まらない! 社団戦3日目を終えて そして修行へ

秋の気配を感じる日曜日、わずかに涼しく、湿気も控えめな朝。晴れの浅草が気持ちいい。
今日もまた1日会場で将棋漬けだ。

初日、2日目と残念ながら結果が付いてきていない。
流れの悪さを感じつつも、どうにも有効な一手を繰り出せずにいる。
今期は7部においても前年よりも全体的なレベルが上がっており、そうそう簡単には勝ち星は上げられない。7部なのに高段者がいるチームも増えてきているようだ。級位者が簡単に勝てるはずもない。

6部ねこまどは、ようやくチーム1勝をあげる。1勝11敗。
7部ねこまどタマは、痛い全敗。2勝10敗。

「星が集まらない!」

打ち上げの居酒屋で管を巻く。
酒は進むが解決策は出てこない。このままじゃいけないはずなのに、このままの状態が続ている。ないかが決定的に足りていない。

「我々は心を入れ替えなければならない」

誰が言い出したのか分からないが修行することになった。
その修行方法は「護摩行」である。
プロ野球選手や将棋だと久保九段が炎を前に顔いっぱいに汗をかいている様子を見たことがある人も多いだろう。あれだ。

今回はチームを代表して4名が護摩行の場所である和光市まで足を運ぶ。
2019年9月7日、まだまだ暑い。

朝から変なテンションの清家リーダーが張り切っている。
「炎近すぎて、髪の毛燃えるんちゃうか?」と嬉しそう。
リーダーの髪の毛が燃えるのなら、それはちょうど良い。今期の成績の悪さの責任を取って坊主になってもらおうかと考えていたからだ。

成増駅から徒歩で約15分。途中、道に迷いながら到着する。
そこは、こじんまりとした鄙びた小さな寺だった。

勝手が分からないまま白装束に着替え説明を聞き、炎に向かって対座するに至るまでの作法を覚える。それほど難しい訳では無いが初めて聞くことばかりで少々戸惑いもある。

サンスクリット語の不動明王真言を7回唱える。

「のうまく さんまんだ ばざらだん せんだん まかろしゃだ そはたや うんたらた かんまん」

意味は全く分からない。呪文を唱えるなんて今までの人生で一度も無い。
そして、護摩行が始まる。

中心の台に火がともされ護摩木がくべられる。小さな火は炎となる。
住職の説明によると不動明王は結界の中で燃える炎に自らの姿を投影させて、人間にその存在を知らしめてくれるらしい。

住職が護摩の炎に向かって九字を唱える。
「臨兵闘者 皆陳列在前、えーいっ。」

炎は熱く、座っている台座は固くて足が痛くなってくる。
しかし、そんなことを言ってられない雰囲気だ。
じりじりと汗をかく。
住職は容赦なく木をくべる。



「炎の前で自らの願いを念じてください」と言われていたので、兎に角、各々、炎に向かって祈りを続ける。

「あー風呂に入ってビール飲みたい」と祈っていたのはリーダー。
天から「叶えよう」と声が聞こえたのは気のせいじゃないだろう。

炎は熱い。
熱いと感じるのは煩悩があるかららしい。

「めちゃくちゃ熱くて燃えるかと思った」というリーダーは、まさに煩悩の塊だ。
だが、その煩悩を不動明王が焼き払ってくれた。

我々の小さな悩みなど木っ端みじんに吹き飛んだようだ。



全てを終えて、手ごねハンバーグ Big Boy で昼食をとる。
サラダ・カレー・ドリンクバーで食べ放題、飲み放題。
どうやら煩悩は無くなっていないようだ。

我々は食べ、護摩行を振り返り、今後のプランを話し合った。
2019年の夏、我々は生まれ変わったのだろうか?
その結果が出るのは、もっともっと先のことになるだろう。

(文 @totheworld)








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