転転転 - 2018 シーズン終わる

薄曇りの東京、少し肌寒くも感じる日曜日。
灼熱の日が続いた夏から、季節は秋に移り変わっていた。

平成30年10月28日
今シーズンの社団戦 最終日を迎えた。
5月末から今日の日まで、毎月、将棋のために1日を費やす人々が群れをなして浅草 台東館へと吸い込まれる。日本最大規模の将棋アマチュア大会は、名誉だけをかけた熱い戦いだ。
今期は新たに7部が創設され、すそ野の広がりを感じる。女性だけのチームも複数あるなど、数年前には想像できなかった様相を呈している。(いっそのことチームに一人は女性を入れる事、という制約でもつけた方が良いかもしれないと、個人的には思っている)

我ら、ねこまどチームは、"ねこまど" と "ねこまどタマ" の2チームが、昨シーズンに共に6部から7部へと転げ落ちてしまい、更に愛想を尽かした あや主将 が他チームに転籍するという泣きっ面に蜂という状態にあった。
これを危機とするか、あるいは楽しく指せればなんでも良いと気にしないかによって、今後のチーム運営が変わってくる。元々、ねこまど級位者大会に参加する大人の級位者を中心として組成され、各人、少しずつ棋力を伸ばしてきている。社団戦に限ると勝ちだけにこだわるのではなく、楽しくみんなで成長していくことを主眼としている。故にチームの成績を上げるためだけに高段者を加入するということは避けている。だから7部降格というのは実力通りでもあるのだが、昨シーズンに満遍なく負けたという結果から考察すると、チームの中でも勝ちを上げているメンバーを主体としたチームを一つ作ることで、チーム勝ち(4勝3敗)しやすいかもしれないという仮定をたてた。20人を超えるメンバーの中には、将棋慣れをしていない棋力が低いメンバーもいるのは事実で、それでも大会に出たいという意気込みは尊重したいし、なによりチームで戦う団体戦はより一層将棋を好きになるドライバーにもなる。このチーム編成方針に全員が納得したわけではないと思うが、「自分たちはこんなはずはない」と昨シーズン後に考えていたメンバーも多い。そんな訳で、2018年シーズンは試行錯誤から始まる。

何名かのメンバー変更があり、2018年シーズンを再び2チーム体制で戦うことに決めたのは3月。そこから3か月ほどの準備期間中に全てのメンバーが棋力向上をできたとは到底言えない。それでも時は前へと進む。


(朝の集合写真:最後も全力で頑張ろう!)

各日については、その時のブログで書いてきたので細かいことについてはここでは省略したい。でも、ねこまどチームが開幕から5連勝できたときには些かの安ど感があったと思う。7部でも通用しないようだったら、どうしようか?そんな不安は常にあり、メンバーの大半を占める伸び盛りとは言えないロートルメンバーのモチベーションが保たれるか心配だったからだ。初参加メンバーも7部の雰囲気の中、落ち着いて指せたと思う。

最終日を前に、ねこまどは昇格圏内の3位につけていた。上々の結果だ。
しかし、最終日、初戦に躓いてしまう。やはりプレッシャーがあったのだろうか。振り返ってみると今まで1日に1勝もできない日はなかった。もし巡りあわせの関係で、初日に4連敗していたとしたら、その後、11連勝できただろうか?(ねこまどの最終結果はは11勝4敗)いや、難しかったであろう。今までの日程でうまく勝ち星を稼げたことが、最終的に11勝をあげることになったと思っている。最終日は結果として3位から4位へと順位を下げたものの、4位で6部昇級を決めることができました。そして5位のチームとは 0.2 ポイント差。この 0.2 という中途半端なポイントは9月の個人戦でM氏が得たもの。M氏のトータルでの個人成績は奮わなかったが、虎の子のポイントを稼いでくれたおかげで4位をキープすることができた。もし、このポイントが無かった場合、勝ち数で順位が決まるらしく、その場合、我々は5位になっていたようだ。(私は彼に年間MVPの1票を投じたいと思う。最後に胴上げをしたかったが、頑なに断られた。)

(負けはしたものの、首位の"ひたちなか"から2勝はスゴイ)

ねこまどタマの方は、エンジョイチームとして、それでも7勝8敗という成績で終えることができた。最終日は消化試合ではあったものの、ライバルチームよりも上の順位になるべく全力で盤に向かう。大会だから勝ちを目指すのは当たり前だが、プレッシャーがあった方が良いのか、無い方が良いのかはよく分からない。どんな状況であれ自分のベストの指し手で将棋ができるようになるのが理想だろう。
内山親子に代わり、今期、親子で参加の 青木親子が並んで将棋を指す姿は微笑ましく、良い思い出になったと思う。少年がいつまで将棋を続けてくれるか、あるいはねこまどチームに居てくれるか、それもまた私たち大人の頑張り次第だろう。

(女性陣が4人並ぶ "ねこタマ")

7部は入れ替え戦が無く、4位だと表彰もされないので早々に全ての日程が終了する。まだ15時。17時予約の打ち上げ会場を16時に変更し恒例の焼肉へ。新たなメンバーで1年を振り返る。途中、ドイツに居る北尾先生とビデオ通話で繋がり様子を伝える。各個人の成績はバラバラで勝ち越した者もいれば、負けが込んだ者もいる。終わってしまえばあっという間の数か月間。いろいろな思いを噛みしめながら、焼肉を堪能する。楽しい語らいは19時半まで続き打ち上げはお開きとなった。今年発足した麻雀部のメンバーは雀荘へ、もうちょっと飲みたいメンバーは神谷バーに向かった。そこには来期のメンバー入りが内定している囲碁インストラクターのいばにゃん(@ibachan_go)の姿もあった。最終日に見学に来ていて、そのまま打ち上げに誘い、すっかりチームにも馴染んだ。ねこまど連珠部のメンバーでもある。

どん底に転げ落ちたところから始まったチームは、シーズンを通して好転していた。
これがチームの力。ねこまどチームはこのままでは終わらない。


夜の帳が下りた浅草の街の中、頭の中で The Rolling Stones の Satisfaction が鳴り響く。

I can't get no satisfaction, I can't get no satisfaction
(満足できないんだ)

'Cause I try and I try and I try and I try
(挑戦を続けているけれど)
I can't get no, I can't get no.
(まだまだ満足できないんだ)


満足したら、そこで終わりかもしれない。だからこそ挑戦を続ける。
転んだら、また立ち上がればいい。
さあ、何でも来い。想像を超えて、俺たちは進む。


(文 @totheworld)

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